PERが当てにならない理由と景気敏感株とPERの関連性
PERとは
PERとは日本語に直すと株価収益率といいます。
基本的な考え方としては割安度を図る時に使う指標になります。
株式投資を行う上で、非常に有名な指標になりますが、誤解も多くPERが低ければ単純に割安であるといった勘違いをされている方も多い指標になります。
そんな誤解の多いPERですが、基本的な考え方としては割安なものは、そのうち適正な株価に是正されるというバリュー投資的な一面もある面においては正解であり、ある面においては間違いになってしまいます。
そんなPERの本質を書いていければと思います。
PERはどのような計算式で考えるの?
PERの計算式は
時価総額÷純利益になります。
PERは割安株だから良いというわけではない
株価が長期的に上昇する条件は、利益が上昇しつづけている事が絶対条件になります。
なので、利益が上昇している銘柄は、基本的に上昇します。
ですが、PERというのは、利益に対して現在の株価を考える指標であり、この先の未来を考える指標ではないという事を頭に入れて置かなければいけません。
なので、割安=良い銘柄ではないのです。
株価は将来の価値に対して、期待で買われるので「安いだけ」という企業の株は買われません。
何か問題がある企業だから低いPERになっていると考えるべき
低すぎるPERというのは何か問題を抱えている企業である可能性が高いです。
例えば、常時低いPERである銀行株は、マイナス金利の影響により今後益々収益の悪化が考えられます。
なので、古い銀行業という形だけでは生き残れず、証券業と合併してみたり、銀行なのに新しい商売をしてみたりといった、構造改革が矢継ぎ早に行われています。
これに対して、市場は反応しておらず、失敗すると考えているので株価が動かないのです。
もし、安すぎるPERが是正される瞬間があるのであれば、それはマイナス金利政策をやめる時だったり、銀行業以外の収益方法を確立できたりといった事が必要になります。
なので、安すぎるだけのPERは、それだけの条件では買われることはありません。
卸売業なんかも、常時安いPERの企業が沢山ありますが、新しい顧客の開拓が進まず、毎年同じような売上しか上げていない企業の株価は低迷し、低いPERにとどまっています。
PERが高すぎる銘柄は売り候補なのか?
逆に高すぎるPERは売り時なのかというと、そうではありません。
これもまた高すぎるPERというだけで売りを考えてしまうと早すぎる結果になってしまうかもしれません。
ITバブル時のYahooは、まだ大きな利益が出ておらず、PERの最高値は1万倍という天文学的な数字になってしまったそうです。PERが1000倍になった時にも株価が高すぎるあり得ないという声が多数出ていたようですが
そんな声も関係なく、その後のYahooの株価は10倍も上昇しました。
PERというのは期待値が高ければ高いほど高くなるという特徴がありPERが高いというのは単なる期待値が高い証拠という部分だけしか価値が無いともいえます。
逆に行ってしまえば、期待を削ぐような事件があった場合には、高PERは急速に是正されるという危険が潜んでいるともいえます。
PERを信用してはいけない
結論から言うと、PERだけで投資すると痛い目に合うので気をつけましょうと言いたいです。
PERというのは、期待値が数字に出ているだけなので、これから上がる株や下がる株を予測する能力というのは低いといえます。
ただし、PERが低い状態でとどまっていた銘柄が、何かの拍子に大きく企業体質を変化させ、毎年きちんと成長していくような企業に変わった場合には、ものすごく大きな株価の上昇をすることがあります。
逆に期待値が高い銘柄が、期待値を剥がすような事があると暴落するといえます。
PERを信用していい場合
PERを信用していいパターンが存在します。
それは、売上と利益が同時に20%以上伸びている場合です。
このパターンの場合は、一過性で終わるような売上や利益の伸びではないと市場が判断した場合は底値から株価が10倍になるのも珍しくありません。
例としてネクステージという会社があります。
この株は2016年1月からの株価大暴落の時に一緒に暴落しました。
その下落率は8割近いです。
下落幅は216円→74円までの大幅な下落です。
ですが、この株は、2018年の時点で1000円を超える大暴騰をしています。
わずか2年で1000円まで上昇してしまいました。
10倍どころじゃないですね。
70円の時のPERは5倍でした。
安すぎるPERですね。
安すぎるPERを排除してしまえば、この株は買いの候補には上がり辛かったでしょう。
さて、なぜこの株はこんなにも大幅な上昇をしたのでしょうか。
答えは、先程にも言ったように、売上と利益が大幅に伸びている事と安すぎるPERの為だと思われます。
次に、なぜこのような優良銘柄が安すぎる株価で放置されていたのでしょうか。
その答えは、日経平均株価の大暴落が原因になります。
この暴落は、優良株であろうと割安株であろうと、売上や利益が右肩上がりに伸び続けている株だろうと容赦なく下落しました。
世界中で狼狽売りが殺到してしまったのです。
その為、超優秀な株が超割安で放置される結果になったのです。
逆に言えば、そのような世界的な株安が起こっている状態でなければ、超一流の株のPERは低すぎるPERにはならないと言えます。
日経平均株価が順調に伸びているのにも関わらず、低すぎるPERの企業の株価は何か大きな問題を抱えている会社だと疑う必要が出てきます。
ウォーレン・バフェットのような長期投資家さんは、このような時期にネクステージみたいな超優秀な株を長期で保有して、大きな財産を築いたのだとわかる事例ですね。
まとめると、低すぎるPERを買う時には日経平均株価が大暴落をして下げ止まってからにしましょう。
それ以外の、平常運転中の相場の時には低すぎるPERには株価を上げない何か悪い要素があると疑ってかかりましょう。
景気敏感株のPERは割安の時ほど危険
景気敏感株というのは、名前の通り景気に先行して株価が上がったり下がったりする株の事です。
日本で言うと、輸出関連株などが有名ですね。
この景気敏感株の特徴は、高いPERの時ほど底値に近くて、PERが安ければ安いほど、大暴落が近いことを示します。
理由として、それは景気敏感株は他の株と比べて市場の動向を敏感に察知して動いてしまうからです。
例を挙げると、景気敏感株の王者トヨタ自動車は、2015年8月~2016年初めにかけての世界的大暴落が起こる前の2017年3月に最高値を付けました。
(日経平均株価の最高値は6月です)
2014年の暴落の時もトヨタ自動車は5月に高値を付けてますが、日経平均株価は12月に最高値を付けてます。
このように、景気敏感株というのは、日経平均株価よりも先行して株価が動くという特徴があります。
なので、PERが低い景気敏感株が続出しだすと暴落のサインになると言われている理由はそこになります。
ちなみに、底値の時期は日経平均株価も景気敏感株も同じになります。
なので、指標として景気敏感株に注目するのは、とても大事なので気をつけて観察しておきましょう。
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